b型肝炎ウイルスの関連マーカであるe抗原

b型肝炎の診断および治療は、総合的に判断されるものの、ウイルス関連マーカーの動きを見ながら行われます。このウイルス関連マーカーは、b型肝炎の病態を考えるときにはどうしても必要なもので、抗原・抗体と呼ばれています。

3種類ありますが、ここではe抗原というウイルス関連マーカーに関して詳しく紹介しています。

ウイルスの内側部分のタンパク

診断や治療の方向性を決めるときに必要になるのが、ウイルス関連マーカーです。b型肝炎のウイルス関連マーカーは、抗原・抗体と呼ばれ3種類あります。表記をするときには、b型肝炎ウイルスを表すものとして、HBがつきますが、s抗原・s抗体、e抗原・e抗体、c抗原・c抗体があります。

このうち、e抗原・e抗体は、b型肝炎ウイルスの内側の部分のタンパクである抗原とそれに対する抗体のことです。参考元>>B型肝炎 給付金 > アディーレ法律事務所

HBe抗原が陽性という反応を示した場合、b型肝炎ウイルスの増殖が盛んで、血液中に非常に多くのウイルスがいることを意味しています。

この場合、b型肝炎ウイルスは感染力が非常に強く、キャリアであれば肝炎の活動性が高くて、肝硬変や肝がんに進行する可能性が高くなります。一方で、HBe抗体が陽性となった場合には、ウイルスの増殖力は低く、肝炎は落ち着いた状態になっていることがほとんどです。

この場合、当然ながら、肝硬変や肝がんに進行するリスクは低下します。また、b型肝炎ウイルスの持つDNAの量を測定することで、こうした抗原・抗体の検査の結果の裏付けを取ることができ、診断が確定します。

治療の必要性

急性肝炎を発症した場合には、もちろん治療は必要ですが、健康な大人が感染した場合には、基本的に自然に治ります。入院が必要になるのは、急性期の症状が強い時です。食欲が低下することが多いので、安静の上、点滴などをして治療をしますが、主に肝機能検査により数値を管理し、劇症肝炎に移行しないかどうか注意して見守ることになります。

劇症肝炎に移行する可能性がなくなれば、数週間程度で治癒します。ただし、近年、遺伝子型がAタイプのb型肝炎ウイルスに感染する人が日本国内で増えており、急性肝炎の予後が悪く、そのまま慢性化することが多いです。

必要に応じて経過を見ながらb型肝炎ウイルスに対する抗ウイルス剤を投与することもあります。一方で、HBe抗原陽性の無症候性キャリアに分類される人は、すぐに治療は必要ありません。ウイルス量では陽性反応を示しますが、ALT値は常に正常で症状もなく、ウイルスは悪さをしてこないことがほとんどです。

これは、乳幼児期に感染して、15歳ぐらいまで続く持続感染の間に起こる現象の場合と大人になって一過性感染をして不顕性肝炎からセロコンバージョンが起こり、無症候性キャリアに転じた人が該当します。セロコンバージョンというのは、HBe抗原が消失して、HBe抗体が出現して肝炎がおさまり、落ち着いた状態になることです。

HBe抗原のセロコンバージョンともいいます。その際に、症状が強ければ病院を受診しますが、症状が軽い場合は気づかないままHBe抗原のセロコンバージョンが終息することもあります。この状態の人は、年に1回から2回、肝機能検査とウイルスの状態を把握しておけば万全です。

肝機能に何か異変があれば治療を始めることになりますが、多くの人は、そのまま何もなく一生を過ごすことになります。もちろん、積極的に治療を希望する場合には、抗ウイルス剤を服用する場合もあります。

慢性肝炎の治療基準

慢性肝炎となると、少々状況は変化します。慢性のb型肝炎の治療の適応は、肝炎が持続して肝病変の進行がみられる場合です。治療対象はALTの値が31以上で、HBe抗原が陽性の場合、ウイルス量が5logコピー以上、HBe抗原が陰性の場合は、4以上、肝硬変へ移行した場合は3以上となっています。

ALTの値が31以上でウイルス量が4から5以上の場合は、多くの症例でb型肝炎ウイルスによる肝炎と考えられます。また、35歳以上でも肝臓の線維化がF2以上のレベルまで進行している場合には、ALTの値が31以下でもウイルス増殖が持続するようなら抗ウイルス療法の対象です。

しかし、高齢者やHBe抗原が陰性の症例、抗ウイルス剤の投与が難しい例では、肝庇護法で経過をみることも可能です。

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35歳未満の治療の選択肢

慢性のb型肝炎の治療は、35歳未満と35歳以上で異なります。35歳未満の若年層例は、自己の免疫力によってHBe抗原の陰性化や肝炎の終息が期待されることや核酸アナログ製剤の長期投与でなく、インターフェロン長期療法を基本としています。

しかし、肝炎が持続することで肝硬変への移行が考えられる場合には、エンテカビルという核酸アナログ製剤による治療も検討することが大事です。さらに、エンテカビルを使用した場合、HBe抗原が陰性化し、ウイルス量も基準値以下になった場合にはシークエンシャル療法に切り替えていきます。

このシークエンシャル療法は、核酸アナログ製剤を先行投与した後に、インターフェロンと核酸アナログ製剤の併用投与をおよそ4週間行い、さらに、インターフェロン療法を単独で20週間使用する方法です。このシークエンシャル療法を行う場合は、核酸アナログ製剤の治療でHBe抗原が陰性化し、その期間が1年以上経過してコア関連抗原が基準値以下になった時のみ行うといいとされています。

35歳未満のHBe抗原陰性症例では、ウイルス量が7未満では、経過観察をしますが、肝炎持続例ではインターフェロンやエンテカビル治療も考慮し、7以上ではシークエンシャル療法または、エンテカビル治療を選択するのが一般的です。

35歳以上の治療の選択肢

35歳以上の中高年となると核酸アナログ製剤のエンテカビルの長期投与を基本として治療を行っていきます。HBe抗原が陰性の場合、HBe抗原陽性でもウイルス量が7未満の場合には、インターフェロン療法も選択肢の一つです。

さらに、HBe抗原が陽性でウイルス量が7以上の場合には、シークエンシャル療法も考慮されます。また、ウイルスの遺伝子型によって治療効果は異なるため、治療を行う際には、ゲノタイプを測定したうえでより詳細な治療方針が決定されます。

特にゲノタイプA・Bの場合は、35歳以上でもインターフェロン療法の効果が高率なため、第一選択肢はインターフェロン療法のほうが望ましいです。